Eiki Mori
Shibboleth - I peep the ocean through a hole of the torn cardigan (CD+BOOK)

音楽と歌の起源を問う作品
音の反復が音楽であり、声の反復が歌だとするならば、この作品は音楽と歌の起源を問うものである。
どこの国の言葉が分からない。聴き慣れないイントネーション。文法的には正しいが意味が分からない言葉、もしくは構文の間違い。
しかし、“Shibboleth = 合言葉” はその言葉を解するものたちだけが共有できる秘密の言葉である。
ゆえに特定の共同体に属さないものには理解ができないようになっている。
意味が剥奪されたのではなく、意味が隠された言葉たち。
それはかつて危機的な状況に置かれた人たちの希望の言葉であったかもしれない。
そして、祈りの言葉になり損ねた声かもしれない。
けれど、その声はやがて歌へと変わるかもしれない。
(レーベルインフォメーションより)

Artist Statement * 以下は、2020 年 6 月 24 日 ( 水 ) から 8 月 2 日 ( 日 ) まで KEN NAKAHASHI [ 東京・新宿 ] での展示におけるステイトメントとなります。 合言葉―Shibboleth
展覧会タイトルである合言葉̶Shibboleth という単語から、どんな文言をイメージするでしょうか。
このインスタレーションのために書き留められた 15 個の合言葉は、象徴的なものや出来事についてというよりは、言語化さえされてこなかったような、日常の中 での、すぐに過ぎ去ってしまうような光景、ほんのささやかな思いや感情を書き綴ったものです。
それらの合言葉を、年齢や住んでいる都市、言語、国籍、宗教、セクシャリティー、それぞれが全く違うバックグランドを持つ 25 名の友人たちに、一番好きなも のをひとつだけ選んでもらい、 唱えてもらいました。合言葉は、馴染みのない言語により、たどたどしく頼りなく、それでいて、 乳児が発する喃語のように、初々 しくまっさらに発せられています。
自分の中に残る、たくさんの声の存在
第一言語ではない言葉と模倣した発音が、どの程度、そしてどのように伝わるかは、全くわからず、不安のまま、ひとつひとつの言葉を、ただただ心を込めて読む ことしかできない。そんな状況で、彼らの声は録音されました。
一日の時間、一生の時間の流れの中を行ったり来たりしながら、異なる描写深度の 2 節により成り立つひとつの合言葉。それらが同一人物により発せられ、自己対 話のように応答されることにより、別の時間軸の存在、記憶や感情の鮮明さ、緻密さ、曖昧さが、その声とともに、ありありと立ち現れてきます。
そして、遠い過去、今日、そして未来で、発せられないまま飲み込まれた声、やっとの思いで発してもかき消されてしまった声、祈りとともに叫ぶ声、愛おしさに やさしく投げかけられるだろう声 ... 私たちは自分の中に残る、たくさんの声の存在に気づきます。
「音」という地平
様々な声や言語が、合言葉を通し、即興的になぞられ、反復され、重なり合っていき、その存在感を際立たせながらも「音」という地平に、静かに鎮座していきま す。そのひとつひとつが、共鳴し、時には反発し合いながらも、ゆっくりとつながり、連帯してきます。
言葉が、声へ、そして音へと変容し、抽象性や匿名性を高めつつも、集積や共有を経た先に発現する「親密な音・開かれた合言葉」。耳元でささやかれているように、 遠くから呼び止められるように、身体に、展示空間に響き渡るその「音」を、ぜひ体感してほしいと思います。

CD+BOOK/immeasurable/日本盤
盤質/ジャケット NEW/NEW

型番 imm 004
販売価格 2,420円(税220円)
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